ブログトップ

CHIE SUZUKI HOME COURT blog

chiesuzuki.exblog.jp

デトロイトという街

デトロイトのTroyという街は、思った通りの典型的なアメリカ。(2度目ですけど)
ニューヨーク生活、東京生活が長いと、アメリカの田舎に抵抗を感じてしまうようだ。いまは初夏のはずだが、激寒。冬に感じる寒さに至るところで出くわす。屋内でも冷房が効きすぎて長袖を二枚着ていても寒い。昨日の屋外コンサートも、すっかりデトロイトをなめきった服装をしていたら、たいへんなことになった。

コンサートとはドン・ヘンリー&スティービー・ニックスの野外コンサート。こんな恩恵を受けたのは、ピストンズのオーナーのメディアに対する計らいらしい。我々は音楽を堪能できることになったが、寒くて寒くて音楽鑑賞に集中できなかった。

元イーグルスドン・ヘンリーはおっさんになったようだが、懐メロを聴きに来ている30−40代の人々でいっぱいだった。"ホテルカリフォルニア"を生で聴けるのには感動した。12弦ギターも健在のあの乾いたサウンドが蘇ったが、見渡すとパームツリーもなく・・・。
"ボーイズオンサマー"はソロになってからのヒット曲、雨の日車の中で聴くと最高の曲なんだけど、個人的に。

こういう音はアメリカの田舎(荒野)を連想させる、まるで風景画を見ているようでもある。この何もなさから発する働きかけが、親しみやすい太っ腹な人格を作るような気もする。

ピストンズやスパーズの話題は?
それはさっき今月のHOOPに書いたので、あんまり今書く気がしない。(すまん)

実はこのあとサンアントニオに行くことにしたので、そちらできっと書けるかも。
(写真:ウィルスミス似のロバード・オーリー。頭の中はアスリートらしくはないようです)

d0038897_005519.jpg

[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-19 23:47 | NBA | Comments(0)

スパーズ対ピストンズ始まる。

まぬ・・・・・。
しかし・・・。
デトロイトがリードしていた1Q。スパーズは出鼻をくじかれた。サンズ相手に戦った後でピストンズは、調子狂う。
チャウンシーはがんがんシュートを入れてくるが、その他の選手のオフェンスはあまり芳しくない。スパーズとピストンズ、どちらもディフェンスはほぼ互角でゴール下に簡単に入ることも出来ないし、ブロックショットなど手が飛び出てきて、TOをさそう。

後半に入り、やっとスパーズのバスケが出来るようになる。
それにマヌ・ジノビリのスピードでピストンズディフェンスは攪乱された。一体どこから走ってくるのかディレクションが読めない。ベンがまるでオフェンスチャージのようなディフェンスファールを取られ、テクニカルファール。
というように、彼をディフェンスするのはものすごく難しそうだ。テイションではスピードが追いつかない。

謎のプレーヤーだ。

ダンカンへのディフェンス、ラシードは良くやっていた。
ラシードがフロアにいること、ピストンズのメンバー全員のオフェンスのステップアップ。これにつきる。特にマクダイスの得点は重要だ。接戦になりスパーズの唯一の弱点フリースローを打たせるところに来たら、スパーズも負ける。

なかなかピストンズの正しいバスケをさせてもらえない、相手スパーズディフェンス。
鬼のボウエンはずっとリップを追いかけていた。一家に一台ボウエン。

オフェンス力の差で、スパーズが有利かもしれないが、次はラリー・ブラウンが対策を練ってくるだろう。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-10 13:35 | NBA | Comments(0)

ピストンズ対ヒート・第七戦

この試合、デトロイト・ピストンズが力を発揮して、ファイナルへ進出した。だれもがあがらずに自分の仕事を遂行した。

ラシードは途中切れそうになる。ファールを吹かれいらいらし、審判に文句を言う。
「いまのはファールじゃないぞ。」
この試合の審判の一人にディック・バベッタがいたが、彼はホームコートチームにひいきしない審判だ。とシカゴブルズ全盛期に囁かれていただけあり、ホームコートアドバンテージを信じず、ドウェイン・ウェイドに贔屓もしていない。
その老齢審判は、いきり立つラシードをうまくなだめていた。

ラシードは試合途中、ヘッドバンドを取り、顔がマジになる。
ジャンプシュートを次々決め、最後のオフェンスリバウンドからのチップインを成功させ、勝敗を分けたのが残り54.7秒。82-79。
ラシード合計20得点。

マイアミヒートは、ウェイドの体が万全じゃないことが全てだった。コートを変幻自在に動き回るポイントガードが不在。彼はシューティングガードのような役割でフロアに残り、何とかジャンパーを打った。後半はウェイドらしいシュートが何度か出ていたが、いつものようなアシストもできなかった。

シャックはインサイドで27点を取り、自分の全パートをプレーしたが、その他のチームメイトは、第七戦のプレッシャーと、ピストンズディフェンスのプレッシャーで普段道理のバスケが出来なかった。

「たぶん、ピストンズは僕らよりも経験豊富だったのだろうね。」シャック。

優勝するのは難しい。
素晴らしいチームを何度も作り上げた事のあるマイアミヒートは、いつになったらファイナルへ進めるのだろう。

ビーチでファイナル。早く実現させてくれ。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-07 16:41 | NBA | Comments(0)

勝ったのにピンチ

第5戦を勝てばこのシリーズを制す。
と言われているのは、5戦を勝ったチームの84%が次へ進んでいるという事実から。

そんな数字はどうでもよく、ピンチのわけは、司令塔の中心選手、ドウェイン・ウェイドが怪我。3Qのこり3分、ラシードの膝が入ったのか右の脇腹を押さえ途中退場。
4Q復帰するも痛みが取れず再びロッカールームへ戻った。(右肋骨筋肉の打撲)

次の試合ゲーム6を欠場すれば、デトロイトがかなり有利だ。
もちろんゲーム7でさえ痛みが引かなければ、負けるか、勝ってもファイナルは悲惨なものになるだろう。

きょうのヒートはウェイドがフロアから消えてから、雲行きが怪しくなった。
しかし、ラシュアル・バトラー、ウドニス・ハスレム、デイモン・ジョーンズの脇役達がよく働いた。このシリーズパワーフォワードとしては見劣りしていたハスレムの13リバウンド、ドラフト2巡目の若手バトラーのジャンパーなど、見事な活躍。マイアミのディフェンスも良く、相手FGを4割以下に押さえた。

デトロイトは、ラシードの不調ですっかりチームとして機能していなかった。
かなり痛いファールを取られたラシード、エディ・ジョーンズと接触したときは、床に倒れたまま両腕で暫く頭を抱えていた。普通は医務係のトレーナーが怪我はないかと駆けつけるのだが、この行動に疑問を持ったのか、ベンチからラリー・ブラウンがラシードの倒れているところまでやって来た。
奇怪な行動から乱闘などの無意味な方向へ走るのを恐れたのか、頭を打ったと思い心配してやって来たのか、ブラウンが近づくと、ラシードは起きあがってベンチへ帰っていった。

逆にデトロイトもピンチだ。もしラシードが精神的に有意義なバスケが出来なければ。よくコーチは「審判と戦ってはいけない。」という。相手は審判ではなくて、対戦相手なのだ。とブラウンに言われたようだ。

ウェイドとラシード、このふたりがまともに戦うことが、両チームにとって計算通りの戦いになるのだ。欠けた方が負けなのか。

試合後インタビューで、ウェイドは「今夜は妻とは別のベッドで寝なくちゃ」などと笑顔で惚気ていたので、そんなに心配はなさそうかも。
ラシードはいつものように頭にヘッドホンを乗せ、(Beep)音いっぱいの受け答えで記者達を困らせていた。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-03 13:04 | NBA | Comments(0)

脱帽マヌ、ゴージャスなアマレ。

サンアントニオがウエストチャンピオンになった。

抜かりない戦略以外に、マヌ・ジノビリの素晴らしいプレーには脱帽しっぱなしだ。
あんなステップ、どうやったら踏めるのだろう。
相当筋肉が強い、早さとバネとカンのよさ。
いくら苛められても立ち上がり、走り、飛び、髪を振り乱しシュート。

このアルゼンチン人、ファイナルでは誰がディフェンスするのか。
テイションか、エディ、だろうか。

相手、サンズの戦いもよかったよかった。
アマレ・ストウダマイアーにも脱帽・・・・・。

きょうもすごいブロックショットにすざまじいダンク。
最強のパワーフォワード同士、ダンカンとアマレ。
この二人の戦いはなんてゴージャス〜。マーキーマッチ。

ナッシュとともにアマレは完全にスーパースターの仲間入りだろう。
来シーズンもゴージャスな戦いを見せてほしいフェニックス・サンズである。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-02 13:08 | NBA | Comments(0)

便利な一言

アメリカでは頻繁にエクスキューズミーと言う言葉が発せられる。
「ちょっとすみません」とか「そこ、ごめんなさいよ」などとよく訳されているが、ニューヨークシティでは「失礼!そこどいてくんない?」と言う感じである。

日本では「どうも」と言う言葉が便利な使われ方をしているが、適当にあやふやに挨拶するときにもよく使われて、すごく日本っぽい。
アメリカでは「Excuse me」はとても便利。悪意があってもなくても、人とぶつかりそうなとき、この一言さえ言っていればOKなんである。

いま、洗濯をしているところなのだが(NYマンハッタンではほとんどの中流以下の家庭に洗濯機がない。建物が古いのでApartmentにスペースがない。洗濯屋も存在する)ランドリーへ行って洗剤とソフトナーを入れて34分を部屋に戻って待っているところ。
一回1ドル50セント(約160円)このあと、乾燥機に入れるのだが8分25セントで、32分で1ドル。一回の洗濯で、洗濯機を色物と分けるので2台と乾燥機で合計4ドル。

きょうはなぜかランドリーが混んでいて、空くのを5分待っていた。
30代前半くらいの白人の男が洗い終わった洗濯物を、乾燥機に入れるとき、近くで洗濯物を畳んでいた50代くらいの黒人の男と接触。
接触と言ってもこの黒人のすぐ後ろに乾燥機があり、通路が狭くなっていたのでちょっとぶつかっただけ。これはお互いわざとではなかったとは思うが、(黒人が振り向いたときに強く肩にぶつかった)接触したとたんふたりは「なんだよ!」「外へ出ろ、おい!」と即座に緊張状態になった。
黒人は右手をポケットに入れて、さもナイフかガンが入っている風を装っている。白人はTシャツにショート丈のチノでいかにもアメリカの白人。殴り合いになるかと言うところで、近くにいたプエルトリカンが「まあまあ、やめとけ」と言葉をかけ修まった。

私はと言うと、洗濯物を背負いながら唖然として見ていた。
「流れ弾に当たらないようにしなくては。」まず最初の行動としてはそれしか思い浮かばなかった。

下らないことでけんかするヤツが多すぎる。このニューヨークは。
まあこれが黒人同士、白人同士なら何も起こらないのかもしれない。しかし相手は敵だ。と容姿だけで判断してしまう。悪意があるわけでもないのに、接触しただけで相手は自分にイヤな印象を与えている。と勝手に思っている。

そのことをうやむやにするのが「エクスキューズミー」と言う言葉なのか。
相手に悪意があってもこの一言で許されるし、悪意はありませんよ。と言う表明のために一言添えたりするのにも便利な言葉だ。

さて、洗濯がそろそろ終わった頃だ。乾燥機に入れてこなくては。
アメリカから一時帰国すると、日本人ってぶつかっても全然謝らないし、傍若無人に見える。しかし日本人同士だからいちいち「ごめんなさいよ」と言って通らなくても、相手に悪意がないのくらい分かっているという習慣になっているからのようだ。

ランドリーで誰かが血まみれになっていませんように・・・。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-02 04:58 | ニューヨークシティ | Comments(0)

ピストンズの行方

動揺の隠せなかったピストンズは、このままフェイドアウトしてしまうのか・・・。
というのもラリー・ブラウンに、キャバリアーズでのプレジデント業が待っている。というニュースが飛び交ってきたのだ。たぶんこれはGM業なのだとおもうが、コーチにはペイサーズのアシスタントコーチ、マイク・ブラウンが用意されているらしい。

しかしこの日の試合、心機一転しデトロイトのデトロイトらしいバスケで、ヒートを蹴散らす。ラリー・ブラウンも前述の噂をきっぱり!と否定し、来年もここにいる。と言った。

球団ごと動揺していたが、この心強い言葉でチームは一つになったようで。

しかしな、イーストチームの関係者が漏らしたものだそうだが、ここまで地元新聞にagreeしたと書いてあると言うことは、ほんとうかもな。(またはピストンズを動揺させたい理由がある)

ブラウンは心変わり早いから、信憑性、あるかもね。

P.S.
あ、そういえば、
前日のアマレのブロックショットは、一流品でしたね。
昨年のテイションのレジーに対するものと同じくらいに。
これをゲットー根性ものというのかな。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-06-01 14:24 | NBA | Comments(0)

ネタバレごめん

デトロイトで行われた第三戦、周りの予想に反して勝利したマイアミ・ヒート。ウェイドは36点、オニールが24点、そしてこのシリーズヒートの鍵になりそうなエディ・ジョーンズが19点というわけで、ピストンズは、「デートロイト・バスケットボール」ができていなかった。相手に5割以上のフィールドゴールを与え、チームディフェンスの鬼!のはずの彼らは、覇気のない戦いぶり。

シャックのインサイドはすごく有効だった。あのデトロイトのディフェンスリズムをうまーく読みながら、ヘルプディフェンスがこちらを向かってくればパス。のタイミングが絶妙〜。日本の伝統芸能、能のようなうまい間のとりかたが、シャックの得点とアシストを増やしていた。おまけに後半のフリースローもよかった。

ピストンズはフリースローを落とすという初歩的なミスと、なんだか精神的に動揺しているようなところがあった気がする。重要な時間帯にラシードとチャウンシーがテクニカルを取られるという事態。ヒートにラストスパートをかけられてしまった。

これで2勝1敗のヒート、ホームコートアドバンテージもある。
ピストンズは第4戦、5戦勝ったとしても、今日のように第6戦もしヒートが勝ってしまえば、あとは地元マイアミでの7戦、ファールトラブルや怪我など何かが起こればヒートに持って行かれかねない。

シャックの腿の痛みは良くなっているという。そしてアロンゾの健康維持とともにやってくるブロックショット。この二つの健康はシリーズを左右する。

予想の外れ、なんておもしろいのだろう。
ピストンズはプライドを持ち「メジャーな方が勝つ、金を動かせる方が勝つ」の金持ち有利の法則を覆したらいいのである。

もともとはピストンズは無視され、ヒートと当たってからはピストンズ有利と言われ、今は、どうなるのか分からないでしょう。と言われてしまう。
評論家や予想屋なんて、詐欺みたいなものだ。(自分含む?)

誰もが予想しない展開こそ、ドキュメンタリーの醍醐味なのである。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-05-30 15:51 | NBA | Comments(0)

ダンディなコーチ

サンアントニオ・スパーズ対フェニックス・サンズ。

秘密兵器ジョー・ジョンソンを投入したが、スパーズのディフェンスの前には、太刀打ちできなかった、サンズ。

マイク・ダントニコーチの、「相手のオフェンス以上のオフェンスをする」ことは、実際には無理だったらしい。最高級のディフェンスの前では。

しかしマイク・ダントニってダンディだ。
というか、ヘッドコーチはよく、自分のプレーヤーが理不尽なファールを取られるとコートサイドで怒り狂うものだが、彼の怒り方には品がある。
どんなに怒っていても目が優しくて紳士的。
上流階級の出身なのか?


きょうはヒート対ピストンズ。Game3
ほとんどの評論家は、ここに来てこのシリーズピストンズ。と言っている。
あまのじゃくな私でも、やはりそう思うが、
ドゥエイン・ウェイドという信じられない潜在能力がいるヒートは、もう一回ぐらいやってくれそうだ。前の試合、精一杯ウェイドをピストンズディフェンスが押さえたはずだったのに、40点も取るなんて尋常じゃない選手。
マイケル・ジョーダンの再来といってもいいくらい。(言っていいのか)
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-05-30 02:10 | NBA | Comments(0)

ピンヒール修理

靴の踵を直そうと、昨年買った夏のサンダルを靴修理に出した。
ニューヨークは最近寒くて、まだショートブーツを履いているくらいだが、暑くなるであろう夏のために今から駅前の靴屋に立ち寄った。

靴チケットを見せて返却してもらう。
が、おじさん「このヒールは難しい、修理できなかったよ。」と踵を見ると、プラスチックのチップが取れたヒールの底に金属の突起物。この突起物には穴が空いており、ここにゴムのチップの釘部分を填めるようになっているのだが、その突起物、特殊すぎて「おじさんこれ直っていないじゃないか。元に戻せ」と責めても、おじさんとしては踵に元々付いていたプラスチックを引っこ抜き「金属の突起は抜けないしここにはゴムのソールを埋め込めない」と言い張る。

そんなこと最初に言えよ。おやじ。

おじさんの前には履けなくなった踵のサンダルが転がっている。
細い踵の底にもうひとつ釘のような突起物がむき出していて歩くこともできない。
南米出身の靴屋は履けなくした靴を見てご愁傷様。と知らん顔。
全くふざけた国だ。靴の修理もできないのか。この国は。とアメリカのせいにする。
日本だったら、駅前の靴屋のおやじがどんな靴でも修理するのに。


ぶつぶつ言いながら、もう一つの修理屋に足を運ぶ。

間口の狭い、奥の方で目だけが輝いている靴屋のおやじ、こちらはユダヤ人。頭にはキッパと言う小さな帽子をかぶる鉤鼻のおやじがこちらを見る。
「サンダルなおしてください」それだけいうと、おやじは踵を見て、これはあかん。という表情。ペンチを持ってきて踵の突起物を挟み、とんかちでガツガツ。カットしようとしている。おじさんだいじょうぶかな。
不審な顔でおじさんを見る。

それにしても汚い店だな。
こんなの誰が履くのだと思うような、イタリアンスタイル、フレンチスタイル、と書かれたップラスティックの棚に、おじさんが革から創ったのかというほこりまみれの靴がディスプレーされている。おじさんは、こちらの不審顔も気にせず、ガツガツととんかちをたたく。

電話が鳴り、おじさんは肩と首の間に受話器を挟み、ヘブライ語で喋る。音量を絞ったラジオもヘブライ語だ。
ヘブライ語とトンカチの音、狭い店の中にただ突っ立って、数十分くらいおじさんの手元を見ていた。これで直らなかったどうするのだ。これだけ踵の突起物を潰して、この後いったい作戦はあるのか。と。

お客さんが入ってきた。白人マダムは、買い物袋を椅子に置き、ゆっくり腰掛け「時計のバンドをなおしてくださいな。」と言い、おじさんは一瞬待って、と言いながらトンカチの手を休め時計バンドから古い革を引きちぎる。マダムは私にほほえみかけ、「すみません、横はいりしちゃって。」と恐縮するが、こちらはそれどころではなく、お気に入りの夏のサンダルか生きるか死ぬかの瀬戸際なので、靴屋にここで手を休めて、急がずゆっくりと戦略を練ってほしかったので「いいですよ。」とマダムにほほえみかけた。

時計のバンドの修理が終わると、おじさん再び参戦。とんかちとペンチではカットできないであろう突起物を金属研磨機にかけ、平らにカットする。火花が散ると何事もなかったように、平らなヒールになった。
しかし、私はなぜ修理屋に靴を出したかというと、プラスチックの靴底チップがすり減り、中の金属がむき出して、道路で滑りやすくなっているから、底にゴムのチップを埋めてほしかったのだ。

しかもその靴はヒールごと硬い金属でできている、いわゆるピンヒールのようなデザインなのだ。踵の高さは105ミリ・直径たった8ミリ。
これを履くと身長が1メートル70センチになる嬉しい代物なのだけど。

しかし・・・、おやじ、この先どうするのだ。突起物は取れたのは良いが、そしてどうするつもり?
おやじはおもむろに電気ドリルを持ち出し、一番細い釘のような先っぽを取り付け、ガルルルル〜〜。おおっと、直径8ミリの金属の踵に底から電気ドリルを差し込んだ。

ええ、これ大丈夫なのかい。

これでヒールが折れたりして・・・・。不信感は続く。
なかなか金属の踵に穴は空かない。おやじ悪戦苦闘。
ガルルルル〜。
三畳ほどの店中に音が響く。ヘブライ語ラジオも聞こえない。

別のお客が入ってきた。
ティンバーランドを履いた黒人。ようおじさん、踵にゴムつけてくれ。
まだ新品の靴底にプラスティックの踵保護ソールを打ち付ける。
あれ、この黒人さん用意周到だな。靴底が減る前に保護している。


休めた手に再び電気ドリルを持ち、深さ1センチくらいまで削る。
ガルルルル〜。
ああ、大丈夫かな?ガルルルルル〜。
もう片方の踵にもガルルルル〜。

直径8ミリのピンヒールの底にやっと穴が空いたみたいだ。
ゴムの小さな靴底を打ち付ける。ガツガツガツ。

やったー。これだよこれ、私がほしかったゴムの踵は。
ありがとうおじさん。

無言で無表情のおじさんの顔がほころんだ。
「他の靴屋で修理できなかった代物だろ?」と最初から分かっていたのだ。
ありがとう。一〇ドルを払う。熱戦の約20分間。
「三〇分は履いちゃ駄目だよ。まだ熱いからね。」

できたてほやほやの夏のサンダルを見ながら
「やればできるじゃないかアメリカ〜」と関係ないであろう事を思った。
[PR]
# by chiesuzukihome | 2005-05-27 15:52 | ニューヨークシティ | Comments(0)