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September Eleven

2001年9月11日、ニューヨークのマンハッタンにいた。


ビル崩壊は自宅テレビで見たのだが、いてもたってもいられず、カメラを持参しアップタウンからダウンタウンへ向かった。
世の中で起こっている歴史を、とにかく記憶したかったのだ。

家を出ると、ダウンタウン行きのバスが動いている。
無料で旋回しているらしかった。

窓の外を眺めていると、献血の行列や、就業前徒歩で自宅へ帰る人々、営業しているレストランやカフェで無事を確認し、人と人のつながりを求める人々。アメリカ人はみな意気消沈、こんな元気のないアメリカ人を見たのは初めてだった。

バスはグラマシーパークあたりで止まり、この先は車が入れません。と告げられ下車しひたすら徒歩で下っていく。するとSOHOのハウストンストリートも立ち入り禁止。直角に交わるブロードウェー通りは、南に大きなワールドトレードセンターが真正面にそびえ立つはずなのだが、そのあたりは白っぽい、灰色のすすけた、黒々とした、スモークで霞んでいた。

南下できない、西へも進めない。
仕方なく、東へ。
ここからは、チャイナタウン在住者のみが通れる。

青い木製の立ち入りを阻むつい立ての前には、NYPDが身分証明書提示を求めている。
「チャイナタウンに住んでいます」「どこの通りだ」「モットーストリートです」というわけで、中国人になりすまして、立ち入ることができた。


チャイナタウンの中国人。公園でチェスをする人々、玄関先にたたずむ老人。ブロック塀の上で爆睡する野良猫。あまりにものどかな光景は、まるで何事もなかったかのようで「平和」が満ちており、
この一角だけ別世界だった。ここが同じ9月11日のニューヨークなのかと。

しかしチャイナタウンの中心を南北に走るキャナルストリートへ出ると、左手にブルックリンを結ぶマンハッタンブリッジからトラックが何台も何台も連ね目の前を暴走する。
中国を象徴する銅像からたくさんの鳩が一斉に飛び立ち、黒い煙の異常さに敏感になっていた。

青い木製のつい立てを何本も横に見て、こんどは東へ進んだ。数えきれないくらいのNYPDが警備している。やっとトライベッカのあたりに到着。もう黒い煙の目の前だ。ここには普段着のアメリカ人が高級マンションから表に出てきて、嘆き悲しみに暮れている。


少し南下すると、車の上には白い灰が積もっていた。
3〜4センチくらいのパウダーアッシュ。手で触ってみると、さらさらの灰、よく目を凝らすと化学繊維のような堅いちりちりのほこりを含んでいる。燃え尽きなかった防火絨毯だろうか。
地面にはなぜかたくさんのコピー用紙のようなものが散らばっている。
爆発の衝撃で書類がいっぺんに飛び散ったのか。その紙には食パンのようにふちがが茶色く燃えた痕があり、紙も「あっちーあっちー」、と言いながら舞い降りてきたんだという気がするのだった。

ワールドトレードセンタービルが粉々になり、数千人の人々が一瞬のうちに白い灰になった。
その真下にいた訳ではないが、おそらくグラウンドゼロから2〜300メートルのあたりまで近づいたかと思う。

隣のビルが崩壊しているのを目撃したが、2本のワールドトレードセンター自体は、既に粉々になっていた。
もう夕刻が近づいてきたので、しばらくして動き出した地下鉄に乗り込みウエストサイドを北上した。


写真は、探して見つかったら掲載しますが
ほとんどありません。



。。。





ワールドトレードセンターに足を踏み入れたことは何回あっただろうか。
一度、107階のウィンドウズオンザワールドという、世界の窓ですよというレストランに行ったことがある。
といっても仕事で、同じフロアのすぐ後ろにある事務所を訪ねた。
ガラス張りのゴージャスなレストランとは裏腹に、必ず迷ってしまうであろう迷路のような通路を抜けると事務所があった。そこのPR嬢は山積みになった書類から世界の窓食堂の美しい写真を選び出し、「どうです素晴らしいでしょう」と言いながらポジフィルムを渡した。

狭くて窮屈な通路だらけの、地上数百メートルに立っていると、ガラス張りの青空の向こうから飛行機が迫ってくるなんて、夢にも思わなかっただろう。



911を境にそれまでの、世界一自信過剰で傲慢だけど太っ腹でいいヤツだったアメリカ魂は、すっかり撃沈されてしまった。しぼんでしまったあのアメリカ人のがっかりさ加減は忘れられない。



黙祷。







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by chiesuzukihome | 2011-09-11 19:01 | ニューヨークシティ | Comments(0)
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